母のアパート経営

母は昭和4年の生まれなので今年で87歳。
もう歩くことは出来ず殆どベッド上の生活で、週に二度迎えに来てもらってデイサービスへ出かける。
認知症を患い、会話は出来るものの5分前に話したことも覚えていない。夫は5年前に亡くなっている。

母は昔の人で、高度成長期を生き抜いてきた人なので、土地などの不動産神話を生涯信じていた人だったように思う。
30代後半に小さい土地を買いマイホームを建て、その7年後土地が僅か空いたところに小さな2階建てを建てて、学生を3人おいて家賃収入を得てそれに味をしめた。

10年後運良く都市の再開発事業で、移転を余儀なくされて代替地と家を建てる費用を得る。
この大事な時に母は勝負に出た。
代替地にアパートを建て、別に土地を買って自宅を建てた。
父はあまりそういう事に積極的でなくて、母がそうするという事を止めるわけでもなく好きなようにしていた。

私もその頃はとっくに社会人だったので、大した蓄えも無いのに母がアパートを建てたり、土地を買ったりするのをはらはらして横目で見ていたが、アパートなど失敗したら大変だからやめておけと反対すると、悔し涙を浮かべて喚き出すので止めるのは諦めていた。

でも今はそのアパートの収入で本当に役に立っている。母の介護で仕事を辞める羽目になったが何とか家賃収入で生活が出来るのだ。
母は生涯でアパートを建てたことが誇りで、自慢で、アパートを話題にすると嬉しそうに顔をほころばす。

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